なかなか制作に集中できないこの季節ですが。。。
実は個展が終わって直ぐから地味な作業をしておりました。。。
勢いや雰囲気で作品を描いてしまって嵐に巻き込まれたくないし、何枚もの作品がテーマとの狭間で迷子にならないよう、モチベーションを保てるよう、何より途中で行き詰まらないよう、様々な本や文章に目を通し外堀を埋める作業をしておりました。
同時に膨大な数のモデル素材や資料がいつの間にか山のように溜まってしまってる。。。
それらの山積物を整理しながら。。。
やっぱり私が描きたい、描かなければならないのは私が感じる『今』の心象の具現化。
時代が代わり、何世紀も未来の人々が今という時代を眺めたら、いったいどんな色に見えるのだろう。。。
現代社会の色と形とはいったい。。。
どっぷりこの時代を生きている当事者として冷静に今を眺めるのは意外に難しい。。。
同じく自分が何に反応し、過ぎ行く生活の中で、内なる感情と冷静に向き合う事もまた難しい。。。
そんな事を一日中考えていると、時折息が出来ない錯覚に襲われる。。。
待ったなしで時間は流れ、いつまでたっても新作の方向性さえ決まらない日々に、スランプにも似た感情の中で自分を追い込み、手探りで、スタートした作品創り。。。
そこまで自分を追い込まないと作品が形にならない不器用な私。。。
やっとの思いで絞り出したおぼろげな答えは『無』でした。
孤独な空間で編み物をしていると不思議なくらい無心になれる。。。
『無』に絞り込み様々な角度で考えてみたり、『無』の付く言葉を寄せ集める所から作品を形作ることに。。。
無表情で無感情。。。
無音で無秩序。。。
無酸素で無重力。。。
無数の無関心。。。
無動で無機質。。。
無限の無意識。。。
無形で無彩色。。。
これらの言葉を数字で置き換えてみると『0』になる。。。
何日も何日も『無』と『0』について突き詰めて考えていると、
何かが幻のように浮かんで何日も私の頭の中を支配したのは、表情でも風景でも色でもなく『形』でした。
画題もモチーフも決まっていないのにキャンバスを丸い形にすることにした。。。
円形のキャンバスが四角いキャンバスよりかなり高額だった事は想定外。。。
キャンバスの形を決めると不思議なくらい作品の影のようなモノが浮かびはじめた。。。
地球を始め自然界には丸い形が多い。。一方人間社会には余りにも角が多い。。。
丸い自然界に四角い人工物が無限に収まるはずもなく。。。
この世は歪なモノが溢れかえっているのかもしれない。。。
融通のきかない四角い箱の中で人々は行き場を失い、息苦しさを感じはじめているのかもしれない。
『無』の中には何も存在しないようで、全てが無限に有することのできる存在でもある。。。
何だか取り留めのない文章になりましたが、これから取り掛かる作品は、ここに書いた事を元に描きたいと思います。
というより、ここに書いた事の全てを私なりに作品にしてみたいと思ふ。。。
いつものように作品の途中経過もご紹介しますので、ご一緒に作品の行方を見守って頂けたらと思います。。。
展示方法も作品達が教えてくれる事と信じます。
どうか迷子になりませんように。。。